打ち上げ花火横から見るか下から見るかの主題

この話はなずなと母の物語である。

この話がよく分からないと言ってる人は主人公との恋愛に重点を置いて見ているか、運命が大きく変わることを期待していたような人が多い気がする。

そもそもこの話は恋愛が主題ではなく、娘(なずな)が母親を理解する親子関係の話なのだから男性が分からないのも当然だ。
言わば母を理解するためのツールが恋愛と言うだけである。
なずなの行動原理は全て母親にあり、彼女の行動はほぼ母の再演である。
なずなは母を理解したかった。自分を愛しているのかとても不安に思っていた。
飄々とした態度からは分からないが思春期、反抗期で不安定な状態であったことが推定できる。
その辺の描写が彼女の家でのシーンでさらっと終わるので何も考えずに見ていると見逃してしまう。
化粧をするのも着替えるのも古い歌を歌うのも恋の真似事をするのも、駆け落ちにこだわるのも母がなずなの前で見せてきた姿であり、母の歩んできた人生である。
なずなの列車内の水商売関連の言動は心の内で母親をそう捉えていることの証で、
もしかしたら彼女が周りからそう言われたこともあるのかもしれない。
なずなにとって恋愛とは、恋多き女の母を理解するために必要なものである。
恋愛とは何か?娘の私よりも大事なものなのか?男がいれば自分はもう要らないのか?
恋愛感情というものを自分で確かめるために、なずなは髪の茶色いのと黒いのの中から水泳で勝った方を花火大会に誘ったのである。
茶色のほうが自分の言うことを聞いてくれそうという期待はあったが基本的には2人とも最初の時点では恋愛感情はなかったと個人的には思っている。異論は認める
では最後で恋愛感情が芽生えたかと言うとそれも個人の見解に委ねることにする。

彼女は主人公ら2人を試すような言動をする。
茶色が黒を殴るのはなずなに選ばれたのに逃げ、彼女を守れなかったのに怒ったから。自分は諦めようとしていたが、あれで覚悟が足りないながらも決まった。

・そもそも丸い玉は何?
ただの装置で深い意味は無い。願いごと言って投げれば世界が変わる
タイムリープ?に代償はないと批判されていたが、束の間の幸福な夢がいつまでも続かないということこそが代償なのではと思われる。
空に変な模様がかかっていたのもひびの暗喩でもうタイムリープを繰り返せないこと、永遠にこの世界に留まり続けることは出来ないことを示している。
タイムリープというよりは世界が丸ごと変わっていたような気がした

・主人公となずなが死んでいる説
ない。なずなの問題が解決していることが明確にされているため

・駆け落ちした説
さすがに作中であれだけ中学生の無力さが強調されていたことを鑑みると脈絡が無さすぎる。普通に引越し、家族仲も少しは深まっているのではないだろうか

思いついたことを適当に書いたが誰かの役に立つなら幸い